"あやまち"からはじめませんか?




「そうですね」



それから準備に準備を重ね、ついに文化祭の日がやって来た。


私は当日、クラスの方で特別やる仕事はないので、

1日、生徒会喫茶の方にいることになっている。


少しの期待をこめて、両親に時間と場所を伝えたけれど……。



【仕事だから】



そう返事が帰って来てしまった。

来れるわけないよね。

けっきょく3年間、見てもらえなかったな……。


「吉永」


肩を落としていると、岩田くんが話しかけて来た。

そこには執事の恰好をした岩田くんがいる。



「うわあ~執事だ」

「ご注文は何になさいますか?」


彼の執事を真似た声に笑ってしまう。


「なに笑ってんだよ、こっちは真剣なんだぞ」

「ふふっ、ごめんって。似合ってるよ」


すごいな、制服じゃないだけでがらっとイメージが変わるんだもん。




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