死席簿〜返事をしなければ即、死亡
【生贄】が決定した瞬間だった。
「諸岡、おっ、これも諸岡。おいおい、これも諸岡って書いてある。諸岡諸岡諸岡諸岡、みーんな諸岡に投票したんだなぁー」
今井が、さも愉快そうに騒ぎ立てる。
「あとは__うんこ担任?生意気な生徒がいるらしい。最後は、白紙?書かなかったやつがいるな」
「白紙?」
「楠木、お前は白紙なんて殊勝なことはしないよな?誰かを投票して生贄にすることができなかった心の優しい持ち主ってことか?一体、誰だ?」
そんな言葉に、俺たちは首を傾げて互いに顔を見合わせる。
みんな名前を書いた。
俺はあえて今井を選んだが、他のみんなは【諸岡つとむ】と書いたんだ。諸岡を犠牲にして、助かるために。そんな中、たった1人だけ白紙で出したやつがいるのか?そんな、優しいやつが__?
その時、おずおずと手を上げたやつがいた。
えっ⁉︎と、俺たちは絶句する。
「そうか、諸岡だったのか。諸岡は誰のことも生贄にしたくなかったのに、あいつらは全員が諸岡を選んだ。残酷な話だな、まったく」
そう言って、諸岡の肩を抱く今井。
俯く諸岡と、言葉が出ない俺たち。1人だけ浮かれてテンションが上がっている、担任は和田カレンに促した。
「早く票を書き入れろ。生贄は、諸岡に決定だ」
「ちょっと待てよ!」
「いや待たない。楠木、これはお前たちが決定したことだ」