死席簿〜返事をしなければ即、死亡
「落ち着け‼︎」
俺が慌てて声をかけると、諸岡の体がびくりと震えた。
その後ろではカーテンがなびき、少しの動揺でも落下してしまう。自ら深呼吸をし、気を沈めてから話しかける。
「諸岡、頼むから落ち着いてくれ」
「く、来るな‼︎」
「わかった。俺からは動かない。だから諸岡からこっちに来てくれ」
「そっちに行ったら俺を殺すだろ‼︎その手には引っかからないからな!」
窓枠から身を乗り出そうという諸岡は、分かっているのだろうか?
ここが3階だということが。
でも、今の諸岡にとっては、俺たちは信用できないんだ。どこにも逃げ道がない。
「諸岡、俺が約束する。絶対にお前を死なせたりしない」
「嘘だ‼︎俺のこと、生贄に選んだくせに!」
それは、俺の後ろで事の成り行きを見守っているクラスメイトにあてて言ったのだろう。
振り返ると、熱を帯びた目で獲物を包囲しているように見える。
「みんな、座ってくれ」
俺が頼んでも、誰も動かない。
「みんな、座ろう。ここは雷人に任せて」といち早く席についた洋子。小金沢もみんなを促し、渋々といった様子で、包囲網は解けた。
あとは、諸岡からの信頼を取り戻さなくては。
「俺を信じてくれ」
すっかり怯えている諸岡の震えが、少しおさまったような気がした__が。
「騙されるな」