死席簿〜返事をしなければ即、死亡
「洋子、大丈夫か⁉︎」
「雷人‼︎」
よろけて倒れかかってきた幼馴染を、しっかりと抱き止める。
スタンガンで体を打たれ、まだ足に力が入らないようだ。
「歩けるか?急がないとやばい」
「うん」
返事をするが、やはり足取りはおぼつかない。
「首に掴まれ」
「えっ?」
「いいから早く!」
思わず怒鳴ると、戸惑う洋子を抱きかかえる。
「首‼︎」とさらに怒鳴り、しっかりと俺の首に手を回したことを確認すると、逃げ道を確認した。
「目を閉じてろ」
「うん」
「ちょっと熱いけど、我慢しろよ」
言う側から、洋子をお姫様抱っこしたまま、天井まで舞い昇る炎に向かって突進する。
いざとなれば、洋子だけでも炎の向こうにほうりなげることができれば__。
勢い余って、廊下の壁に頭から突っ込む。
「ら、雷人⁉︎」
「大丈夫だ。行くぞ!」
炎に追い立てられるように、廊下を走った。
階段を駆け下り、玄関に山積みになったクラスメイトの死体を通り過ぎ__校庭に出て振り返る。
その時、教室の窓から炎が吹き出した。
割れた窓ガラスが、雨となって降り注ぐ。
助かったんだ。
俺と洋子だけが、助かった。