死席簿〜返事をしなければ即、死亡


まだ今井は気づかない。


それとも、絶対的な自信があるのか?


名前さえ呼んでいれば、俺たちがおとなしくしているとでも?


大きな図体のくせに、足音を殺してジャクソンが中央まで歩み進めた。


【水口智花】


チョークの音だけが聞こえる。


それと同時に、前傾姿勢になる男子たち。だが、前の小金沢が手で制する。確かにみんなで飛びかかれば瞬殺だが、その前に気づかれる恐れがあるだろう。


ジャクソンと小金沢、そして俺だけで充分だ。


【森本亜希子】


あと6人。


ゆっくり慎重に、けれど急がなければいけない。


俺は椅子を僅かに持ち上げ、ズラす。


するりと席から外に体を滑らせた。


【諸岡つとむ】


覆い被さる影でバレないよう限界まで腰を落としたジャクソンが、教壇に近づく。


ジャクソンの狙いは一つ。


今井ではない。


今井の息の根を止めるために、教壇に突き刺さっている大きなナイフ、それが狙いだ。


【矢井田ミキ】


小金沢も、姿勢を低くして机の間をぬっていく。


【米倉聖夜】


その名前が書かれた時、俺の足から力が抜けた。


あっ。


そう思った時には、もう遅い。


足が絡んで蹴つまずき、机もろとも倒れ込んで__。



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