死席簿〜返事をしなければ即、死亡
「進、信じてくれ。俺も本当はいじめなんかしたくなかった!ただ俺には、止める勇気がなかったんだ」
力なく項垂れる、世良。
ただ助けてくれと叫ぶだけじゃなく、ここにきてようやく、自分の行ってきた罪の重さを知ったのだろう。
いじめだけじゃない。
親友の信頼を踏みにじった、大きな裏切り。
「ごめん、進__ごめん」
涙と鼻水を垂れ流し、啜ることもなく謝り続ける世良を、和久井は無表情でずっと見つめていた。
一体、なにを思うのだろう?
和久井は許すのか?
それとも、許さないのか?
一同が息を止めて見守る中、和久井の表情に変化が現れた。
「__進」
顔を上げた世良と、見つめ合う。
柔らかい笑顔を浮かべたまま。
「もういいよ、幹夫」
和久井が、名を呼んだ。
苗字ではなく、その名を呼んだことの意味は大きいのではないか?
昔のように下の名前で呼びあい、気心が知れた仲だったあの頃のように、2人の間に暖かなものを感じた。
気持ちが伝わったことに安心したのか、世良が椅子の背に身を預ける。
「それじゃ和久井、有罪か無罪かどっちだ?」
「はい。僕は幹夫を許します」
はっきり力強く、和久井が言い切った。
「そうか。無罪でいいんだな?」
改めて今井が問いかける。