懲らしめて差し上げますっ!~じゃじゃ馬王女の下克上日記~
レベンツキー伯爵とは、王城での舞踏会や晩餐会で、何度も顔を合わせたことがある。

身分は伯爵よりラナの方が遥か上であるため、子供の頃から恭しい挨拶を受けてきた。

ところが伯爵は、簡素な平民服を着たラナが王女であるとは思いも寄らないらしく、年長の役人から事情を聞くと、馬上から厳しい言葉をかけてきた。


「我が名はレベンツキー。旅の者よ、我が領地の政策に口出しするとは無礼である。今すぐ地に額を擦り付けて詫びれば、縄をくれずに許してやろう。だが、これ以上楯突けば、穏便に済ますわけにはいくまいぞ」


ラナは、並んで立つカイザーとグリゴリーの間を割って、伯爵の前に進み出た。

もちろん土下座をするためではなく、文句を言うためにである。


「ん?どこかで見たような顔の娘だな……」と首を傾げている伯爵は中肉中背の中年男で、鼻の下にやけに形の整ったハの字型の髭を生やし、いけ好かない面構えをしている。

その服装から、今まで狩猟遊びに興じていたことが窺えた。

伯爵の後ろには、同じように馬に乗ったお供や護衛の者が十数人いて、獲物のキジや山鳩を馬の鞍にぶら下げている者や、弓矢を担いでいる者もいた。


(領民たちが困窮しているというのに、仕事もせずに遊び呆けているとは、呆れたわ。ギャフンと言わせてやらなくちゃ……)


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