こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~
「どうした凜子、なんだか今日は一日ずっと機嫌が悪そうだな」

ベッドの中、素肌の肩にチュッと水音を立てて木崎課長が唇を押し付ける。

ここはホテルの一室。
互いに無我夢中になって求め合った熱の残滓が、いまだにしっとりと部屋に立ち込めている。

「そんなこと、ないんですけど……」

昔からよく感情が顔に出てしまうのは悪い癖だ。だから、なにを考えているのかすぐにわかってしまう。そして嘘をつく時に目を逸らすのも……。

「木崎課長。私が嘘をついてる時ってわかりますか?」

「おいおい、なんだ。なにか俺に嘘をついているのか? お前が嘘をついている時か……元々自分を見せないからな、俺には見分けられないぞ」

突然の質問に首をかしげ、煙草に火をつける。

木崎課長、私が嘘をつく時は……目を逸らす時なんですよ。

あの人にはわかったのに、木崎課長にはわからなかった。

はぁ、馬鹿なこと考えるのはやめよう。

なにを比べているんだろうと、私は枕に顔を押し付けた。
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