こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~
てっきり全部コンシェルジュサービス任せなのかと思いきや、大抵の自分のことは自分でやっているようだ。

独り暮らしだとどうしても自分のためだけに自炊するのが億劫になってしまう。けれど私だってまったく料理ができないわけじゃない。自分にそんな言い訳をしていると「座れ」と椅子に促される。

「このくらいしか用意できないけど、腹減ったろ? 寝ながら何度も腹の虫が鳴いてた」

うぅ、恥ずかしい……そんなの聞かれてたなんて。

「ほら」

赤面する私を余所に、最上さんは味噌汁の入った器を差し出す。ほんわりと湯気が立ちこめて、匂いだけでもおかずになりそうだった。私は食欲に耐えかねて、手を合わせると最上さんが作ってくれた朝食に手をつけた。まずは味噌汁から。

「お、美味しい!!」

はぁぁ、なんで二日酔いの味噌汁ってこんなに美味しく感じるんだろう。五臓六腑に染みわたるとはこのことだろう。
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