Green Apple


夢を見た。


山内が俺の横で笑っている夢を。
よくみると俺たちは手を繋いでいる。

そして俺はそっと山内の頬に手をあてる。

…いい匂いがする。

そして俺は山内に近づいて、そして…


で、目を覚ました。


「なんっつー夢を……。」

長いと思っていた夏休みも、あと1週間で終わる頃合いになっていた。

なんだか身長が伸びた気がする。


この夏休みは、

宿題して、なんとなく朝と夜走って、

腹筋なんかしちゃって、

ゲームして…宿題して…テレビを観ていたぐらいだ。


結局山内ともまどんな様とも会わずに、今日まで過ごしていた。


もう、どうでもいいや。

そう言う気持ちでこの夏休みは過ごしていた。

初恋の子なのに、学校1のマドンナ的な子なのに、


なんだか考えることがめんどくさいと思うようになった。


夏の夜、扇風機を回しても暑い夜。
ベッドに寝転がってはぼけーっと天井を見つめる。


「ごはんよ!降りて来なさい!」

下で母さんが呼んでいる。

「…はーい。」

…正直言ってうるさいなぁ。

なんて、
最近、些細なことでイライラすることが多くなったような気がする。


すると、
「聞こえてんの?ごはんよ。」
と、
わざわざ母さんが来た。

「返事したよ。」

「そう?大きく言わないと聞こえないから。」

「声が出しにくいんだよ。」

「そうなの?じゃあそろそろ声変わりがきそうね。」

「あぁーもう分かったから早く出てって。」



…頼むから、これ以上イライラさせないでくれ。


ああ、

俺いま成長期ってやつなんだろうか。

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