真実(まこと)の愛
Chapter7

➖❶


「……あ、やっぱそのピンキー、麻琴さんによく似合ってますよぉ〜!」

紗英が麻琴の右手の小指に復活したオパールのフォークリングを眺めて、しみじみと言った。

麻琴の顔が苦虫を潰したようになる。

……結局、元の木阿弥になってしまったわ。

そのとき、出先からMD課に戻ってきた守永が、麻琴に声をかけた。

「麻琴、この前きみが打ち合わせをしたグラフィックデザイナーから、なにか連絡があったか?」

「はい、ありました……早速クリエーターをリストアップしてもらって、今までの主な作品を添付して送付してくれました」

麻琴は、タブレットの画面上にあるメールボックスをタップして開けながら答える。

芝田からは、あれから一週間も経たないうちに必要なデータが次々と送付されてきた。

「そうか……じゃあ、話はミーティングルームで聞くよ」

守永はそう言って、MD課の奥にあるミーティングルームへと足を向けた。
麻琴もあわてて、手元にあった一式を抱えて、デスクから立ち上がった。

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