クリスマス・イルミネーション
11月15日
和希のクラスの授業は、二日後にあった。
「では、始めます……」
和希と目が合った、じっと睨むように見られ、愛由美は慌てて黒板に向かう。
(武藤くん、こわっ。晴真、なんか話したのかな?)
チョークの音を響かせて板書する。
「OK. Please answer the question. 」
よりによって、手を挙げたのは和希だけだった。
(う……っ)
関わりたくないと思っても、それでも和希を指名しない訳にはいかない。
「All the boys spoke ……」
回答を聴きながら思う、声が、晴真とよく似ている。先日、何度もからかわれた声、耳元で囁かれた声……。
「……Ms.Hosaka?」
そのよく似た声に呼ばれ、はっと我に返る。
「ぐ、Good job!」
(でも)
愛由美は考える。
(やっぱり、武藤くんはちょっと幼い感じがする、かな……?)
*
放課後、職員室でメッセージを見た。
『日曜日、何処に行く?』
晴真からだ、時間はまた授業中に当たる頃合い。
愛由美は考えてから、返信をする。
『やっぱり、もう会うのはやめます』
すぐに返信があった。
『なんで?』
『和希くんの目が見られません』
『隠し事してて、後ろめたい?』
『はい』
『じゃあ話しちゃおう』
「それはダメ!」
読んですぐに叫んでしまった、残っていた教師達が何事かと見る。
「す、すみません……」
愛由美は席を立って、トイレに駆け込んだ。
『愛由美?』
すぐに返信がなかったからか、そんな文面が三つ並んでいた。
『日曜日、会って話します』
『いいよ。何処で待ち合わせ?』
『じゃあ、この間別れた地下鉄の入口で』
時間のやり取りをして、その会話は終わらせた。
ふう……愛由美は溜息を吐く。
「どうしよう……」