クリスマス・イルミネーション



和希はスマホの画面を見ながら、含み笑いで肩を揺らしていた。

「なんだよ、和希、気持ち悪りぃ」

まだ教室にいた。
数人の友達とお喋りに興じている間に時間が過ぎていた。

「ん、悪りぃ……最近、面白い女、捕まえてさ」
「お、珍しく他校の女か? つかお前、水野はどうしたの? 最近冷たいんだって文句言われたぜ?」
「あー水野なあ……もう飽きたな」
「お前、相変わらず早っ! 三ヶ月持った試しあるか?」
「あんまり言いなりな女は好きじゃないんだよ、なのにみんな簡単に手名付けられやがって」
「えー? 水野は結構タイプだったろ?」
「最初のうちは良かったけど。最近はすっかり俺の好みじゃなくなった」
「お前、Sだからさ。結局Sどうしは合わねえだろ」
「だぁれがSだ」
「じゃ今度の女はSなの?」
「うーん? Sって感じじゃねえなあ」
「でもいいんだ?」

和希は、くすっと笑った。

昨夜のコロコロとよく変わる表情を思い出していた。

怒ったり、恥ずかしがったり、笑ったり……学校では見せない、素の愛由美を。

「なんつーか。崩してみたくなる」
「へえ? 口説いてる最中? 落とせたら紹介しろよ?」
「もちろん」

(きっと驚くぜ)

内心ほくそ笑んだが、その奥底にある嫉妬にも似た感情は感じないふりをした。

「だったら水野の方は、ちゃんとケリつけたほうがいいぜ? 割とねちっこいから」
「冨樫、お前、いいなとか言ってなかった? 熨斗付けてやるよ」
「えー、お前のお下がりはいらねー」

皆がどっと湧く中、和希は改めて愛由美とのやりとりの画面を見入っていた。

日曜日が待ち遠しかった。


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