ふたりの関係には嘘がある~俺様エリートとの偽装恋愛は溺愛の始まり~
同じ地元の、同じ学校で学び、一日の時間の大半を一緒に過ごしてきた仲間。

良いことも、悪いことも、家庭環境も、すべてを知り、知られている仲間たちに、今更何かを期待しているわけではない。

参加を決めたのは初恋の彼に会いたかっただけ。


「相手に恋人がいるとかは考えないのか?」

「いたらいたで諦めがつくじゃない」


略奪してまで彼の恋人になりたいとは思わない。

そこまで想うなら、とっくに行動に起こしていただろうし、こんな風にのんびりと構えてはいない。

ただ、彼がどんな風に成長したのかが知りたい。

あわよくば恋人に、って考えもないこともないけど。


「それなら」


初恋の彼に想いを馳せているところに、実松くんの低い声が耳元に届いた。


「俺はそいつに彼女がいることを願うことにするよ」

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