私はあなたのストーカーです
「ただいま」
帰ってきた先生からスーツを受け取ると
なんだか新妻にでもなったみたいで、ドキドキしてくる。
「そんくらい、自分でできるよ」
「だ、ダメです。養ってもらうんですから。こき使って欲しいです」
先生が仕事の間、小町ちゃんの面倒をみつつ、料理や洗濯をしていた。
『この階段は上がらないでくれ』
『この扉は開けないでくれ』
おそらく一階へと続く階段は上っていないし、入っちゃいけないと言われた部屋には入っていない。
それでも動ける範囲にお風呂だってキッチンだって、トイレだってあるからとても快適に暮らせている。
窓がないのは味気ない気もするし、お布団を天日干しできないけれど、地下だから仕方ない。
先生の隠れ家ってだけでわくわくするから、そんな些細なことは気にしない。
小町ちゃんの安全のためだ。
今あの子が見つかりでもしたら先生は私を叱るだろう。
赦してくれないかもしれない。
そうなると、嫌われてしまう。
だから私は小町ちゃんのいいお姉ちゃんを演じようと思う。