私はあなたのストーカーです

シチューを器によそう。


「食パンしかないけど」
「全然オッケー」


トーストしたパンと一緒にトレイに乗せて悠の待つ食卓へ。


「うっま」
「ちゃんと噛め」
「料理上手だな。ひなは」


褒めてまた食べさせてもらう気だな……？


「普通でしょ」
「いや。美味いって、ひなの手料理は」
「褒めてもなにもでないよ。デザートないよ」


待てよ、冷蔵庫にプリンがあったような。それも一つだけ。あれは私のものだ。


「毎日でも食べたいくらい」
「たからないで」
「そんなんじゃなくてさ。俺、作ってみたんだ」
「え？」
「野菜炒め。クッソ不味かった」


野菜炒めを不味く作るってある意味才能じゃないかな。


「なに入れたの」
「野菜」


ねえ、あんた本当に頭いい？

スポーツ万能、頭脳明晰って言われてるけど嘘なんじゃない？


「当たり前でしょ、野菜炒めなんだから。そうじゃなくてさ。具体的な材料とか味付けとか」
「味付け？」
「…………」
「ああ、そうか。素材そのものの味じゃいけなかったのか」
「塩コショウしてないの！？」
「ああ」