私はあなたのストーカーです


「はあ」なんて気の抜けた返事をしてくる悠は、やっぱりガキだ。

一緒にいると、年の離れた弟の世話でもしている気分になってくる。高校生になった今も。


「なあ」
「なに」
「今日の夕飯、シチューだった?」
「そうだけど」


食器など片付け終えていたが、香りが残っていたらしい。というか、はやく帰れ。


「ひなが作ったの?」
「……まあ」


作るって言ったって。野菜の皮を剥いて。炒めて。ルーと水を入れただけだけど。それが?


「食いたい」
「は?」
「無性に食欲そそられる」
「ご飯まだ食べてないの?」
「部活前に食って。帰ってきてまた食うタイプ」

そういえば一日五食の人だったね。朝練の前後、昼、そして部活の前後。


それでよく太らないなって思うけど、それだけ動いてカロリー消費してるってことだよね。


「高校生になってもそのリズムなんだ」
「めしー」
「私は悠のお母さんか」
「そんな風に、思ってねえよ?」
「どうだか」


今日、うちでは用意してもらえてないのかな。

悠のお母さん、専業主婦でお料理上手だよね。


「……仕方ないなあ」
「やったね」
「食べ終わったら洗って帰ってよ」
「もちろん」
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