ただのワガママでしょうか。

「おはようございます。」と扉を開けた途端に
どんよりとした、重い空気が流れてきた。

またか、と心の中では思いつつも、事務的な挨拶を続け、自分の席へと座った。

「雪ちゃん、松木さんのイライラは朝にしてピークでぇす」
小さめな声で、電車のアナウンスのように知らせてくれなくても良い情報を教えてくれたのは、二つ先輩の小関さん。

その松木さんとは、唯一空気の重さを変えられる我々の大先輩である。
そして、私は入社一年目の、雪永 真紀 18歳

社会人生活をどう乗り越えて行けばよいのか、
壁にぶつかっては、ぶつかってはぶつかっての繰り返しの日々。

空気を吸う事すらめんどくさい
誰かと時間を共有するのもめんどくさい
何に対してもめんどくさくてやる気が起きない
ただただ、何とか時間が過ぎるのを待つ
生きることに意味を見いだせない
そんな毎日を過ごしている。








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