伝説に散った龍Ⅱ
「ーーくそっ、出ねえ」
「ごめんもうちょいで食べ終わる」
「たくお前はずっと食ってんなあ!ちょっとは手伝えよ食いしん坊!!」
「だからごめんて言ってるでしょ」
ちょっと静かにしなよ、と言いながら柚を見る。
烈は電話には出ないようだ。
ついでに世那も。
舌打ちを零しながら手当り次第に、
柚は次々と彼等の名前に触れている。
「ーーっ、おい伊織!お前今どこに」
「お?出た?」
どうやら伊織は出たらしく
伊織に繋がったのなら問題は無いか、と私が柚から視線を逸らした瞬間
「はあ!?」
店内に、柚の怒号が響き渡って
二つ隣のカウンターに座る客が、私たち二人を丸く開いた目で凝視する。
よくよく見てみれば店内の誰もがそうしていることに気がついた。
…まあ当然か。
本来暖かいはずの店内に
なぜか完全アウェイな空気漂ううどん屋。
…こんなの初めてだ。
私は箸を置き、伊織の声も聞こえなくなった通話画面に苛立ちを募らせる柚の手を取る。
「行くよ」
「っ、くそ野郎」
「ほら、柚」
「あ?」
「みんな見てる」
「……すまん」