俺様外科医と偽装結婚いたします

続けて、母が両手でワンピースを持ち、私の身体に合わせてきたため、思わず首をかしげてしまう。


「この服、なに?」

「なにって、銀之助さんのお孫さんとの食事会の時、咲良に着てもらいたいと思って買ってきた服よ」

「お母さん。あのね、そのことなんだけど……」


たぶんもう、銀之助さんから連絡は来ないと思う。

そう言おうとした時、店舗から自宅へと繋がるドアが開き、陸翔が店に入ってきた。


「祖母ちゃん見なかった? ……って、なにしてんの?」


お祖母ちゃんの姿を求めてか、ぐるりと店内を見まわしたあと、彼の目線が私で止まる。


「この格好だったら清楚に見えるし、好感度も高くなる。お相手からの第一印象は最高よね?」


母に同意を求められ、陸翔は「なるほど」と苦笑いで頷き返した。


「第一印象は大切だもんな。けど姉ちゃんなら大丈夫! きっと上手くいく!」


爽やかな笑顔で励ましてもらったけれど、残念ながらもう無理である。

とっくに顔を合わせている上に、第一印象はお互い最悪だ。こればかりはもう覆せない。


「お母さん、陸翔。実はあのね……」


深刻さを声に滲ませて、すべてを打ち明けようとした瞬間、また邪魔が入った。

< 43 / 209 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop