俺様外科医と偽装結婚いたします


「性格はともかく、顔は良いと私は思うけどね。まぁともかく、本人に会えばすべて解決する。楽しみだねぇ。……あぁそうそう。陸翔、話ってなんだい?」


お祖母ちゃんに強引に話題を変えられたことで、陸翔が思い出したように頬を赤らめた。そして、言い難そうに視線をそらす。


「実は……今度、家に彼女を呼ぼうかなって。あいつも一度きちんとみんなに挨拶したがってて」


照れながら陸翔が告げた言葉にお母さんは「まぁ!」と一声上げ、私に用意したワンピースをぎゅっと抱きしめた。


「おめでたいことが続くわね」


続けて、同意を求めるようにお母さんから腕を掴まれた。

おめでたいことは陸翔の方だけ。私に関してはもうすぐ話がなかったことになる。

しかし、母があまりにも嬉しそうなため、その期待に応えられないことに申し訳なさでいっぱいになっていく。

力なく笑い返していると、お店の電話が鳴り響いた。


「いつでもおいでと言っておやり。なんなら、試しに働いてみるかい?」


はははと豪快に笑いながら、お祖母ちゃんが電話へと歩み寄っていった。

力が入りすぎていたらしく、抱きしめていたワンピースにシワが寄ってしまったと慌てふためく母の様子を陸翔と一緒に笑っていると、不意を突くようにお祖母ちゃんが明るくその名を口にした。

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