フェイク☆マリッジ 〜ただいまセレブな街で偽装結婚しています!〜 【Berry’s Cafe Edition】
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「家」が放った追手に「捕獲」されたわたしは……

ある日突然、まーったく似合わない振袖を着付けられ「お見合い」の場に連れて行かれた。

とっくに三十路(アラサー)の私が、きっと成人式の子だったらバッチリ似合うに違いない純粋無垢なパステルカラーの大振袖を着せられたのだ。
(あんなの「公開処刑」以外の何物でもなかった……涙目)


そもそも、双方とも同族企業の上に「家」同士の結び付きだけを考慮した「政略結婚」である。

お見合いといってもただの「情報共有の場」で、わたしたちの結婚はすでに「決定事項」だった。

そこに、わたしも見合い相手も「意思」なんて存在しない。
(それって、江戸時代よりもひどくない?今は令和だよ?)


おまけに百年近く同業他社(ライバル)関係だったというのに、これからは共に手を携えてやっていなかければならない「合併問題」も控えている。

どちらが持株会社(ホールディングス)の「主導権」を握るかの駆け引きは、そのときもう始まっていた。

わたし以外の人たちは、それぞれの両親も仲人(メインバンクのお偉いさんご夫妻だった)も、そして速攻で「婚約者」となった見合い相手も……

互いに腹の探り合いで、一見当たり障りのない会話の向こう側では見えない火花がバチバチと目まぐるしく飛び交っていた。


そんなわけだから、婚約者との交流(デート)は「海外への出店計画で忙殺されている」という理由(いいわけ)で一度もなかった。

だから、わたしたちが次に会ったのは……


——なんと、結婚式の日だった。

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