フルール・マリエ


「この前、大学の同窓会だったんですよ。女子は大半が結婚してて、子供がいる子もいたくらいで、私は割と最後の方なんですよ。だから、インナーも貰えたし結婚式の準備も聞けたわけなんですけど、やっと、落ち着いて同窓会出られたんですよね」

「今までは違ったんですか?」

「既婚組と独身組に分かれるんですよ。独身組がどんどん少数派になっていくから、肩身が狭くて。独身組からしたら既婚組の愚痴は惚気てるとしか思えなくて、一旦行くのもやめちゃったんですよ」

ドレスを胸まで持ち上げて、編み上げをしていると、鏡に映る新婦が苦笑いを浮かべているのが見えた。

「友達に千紘君に会ったこと話したら、同窓会に連れて来てって言われたけど、振られちゃいましたよ」

「あ、もしかして先日来店されたのって・・・」

「そうです。すみません、仕事中に。千紘君、連絡先変わってて、誰も連絡先知らなかったんで押しかけちゃったんです。千紘君にも怒られました」

確かに個人的なことだな、と真田さんの言葉を改めて思い出した。



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