フルール・マリエ
「聖をお姫様にするなら、似合いそうだな、って思ったのあるよ」
距離を詰めて来た千紘は雑誌をめくって、これ、と指差した。
シンプルだが、ロングトレーンが一際美しい、落ち着いたブルー系で統一されたAラインドレス。
「透明感と清潔感があって、聖の細い体に綺麗にフィットすると思う」
「でもこれ、ブルーの割に甘めじゃない?私にそういう可愛い系は似合わないと思うけど」
「何で?聖は可愛いよ」
私の髪を一束すくって、口元に持って行く千紘の姿に顔が火照る。
「ほら。そういうとこ、可愛い」
「ち、千紘がそういうこと言ったりするからでしょ」
「俺の言動に可愛い反応するから、からかいたくなるんだよね」
「か、からかわないでよ」
「うん。ここからは、真面目」
手元に開いていた雑誌を奪われて、テーブルの上に置かれるのを視線で追いかけていると、頬に千紘の骨ばった指が触れる。
「読書タイム終了。次は俺の相手してよね」
そう言って、千紘は私を優しく抱きしめる。
何度触れても、ときめく千紘の手から伝わる熱は私を簡単にほだしてしまう。