フルール・マリエ
「私から見ても、牧さんの旦那さんは牧さんのこと思ってるんだな、大好きなんだな、ってわかるよ?」
「それは、わかってるんですよ。なのに、何でイライラしちゃうんだろうって思うんです。私が同じだけ、思ってないからですかね。相手のことが好きすぎたら、靴下だって拾ってあげて、何でもしたくなるんですかね?」
牧さんは相手に苛立ってしまう自分にも腹が立っているのか。
相手の気持ちはわかるのに、同じように返せないことにもどかしさを感じて。
「それは、牧さんが依存し合うんじゃなくて、対等に支え合いたいと思ってるからじゃないかなぁ」
「依存じゃなくて、対等ですか?」
「ちゃんと話し合って物事は決めたい、助け合って生活をしていきたい。なんか牧さんはそういう夫婦になりたいのかなって思ったの。どちらかが一方的に決めたり、してあげたりするんじゃなくて、2人で一緒に進んでいきたいのに、って聞こえた」
「私・・・好きな人に尽くしたいタイプだと思ってたんです。でも、結婚したら意外とそうじゃなくて、この人のこと好きじゃないのかなって思ったんです」
「付き合うのと結婚は違うって私に言ったの、牧さんだよ。それってこの場合にも言えるんじゃない?夫婦って2人の人生だもの。お互いの人生背負っちゃったら、無責任になれないと思うよ。付き合ってる時は目を瞑れても、結婚したらそうもいかないよね」
「そう、なんですかね」
きっと頭の整理がすぐにはできないだろう。
自分の今までの気持ちや行動と照らし合わせながら、私の言葉を吟味してくれているはずだ。
牧さんは無言でジョッキを遠慮がちにコクコクと飲んだ。