フルール・マリエ


「帰ったら、ちゃんと話し合ってみようと思います。イライラしてばかりで、ちゃんと言葉にしてなかったから」

「うん。それがいいと思う」

私も少し安心してジョッキを傾けると、牧さんはじっと私のことを見つめていた。

「え、何?」

「朝見さん、彼氏の写真見せてくださいよ」

「何でそうなるの?」

「だって、朝見さんがそんなに乙女になって、夫婦間を語れるくらい結婚を意識させる人ってどんな人か気になるんですよ。その時計だって、彼氏からのプレゼントですよね?」

左手首の時計を示して当たり前のように言う。

「何でわかるの!?」

「わかりますよー。クリスマス後に見たことない女子っぽい時計付けてる上に、大切そうに眺めてる時あるじゃないですか」

「な、眺めてる?」

「眺めてますよ。その彼氏のこと、すごい好きですよね?」

牧さんが特別周りを注視しているだけかもしれないが、気をつけないとな。

「それ、ブランド物だし、収入もある人ですよねー」

「うそ!?これ、高い?」

「知らずに付けてたんですか?割とすると思いますよ」

「そうかー・・・。私、あげてないんだよね、プレゼント」

「別にいいんじゃないですか?貰えたら嬉しいかもしれないですけど、物が全てじゃないですよ。あ、これは、女から男の場合ですよ?彼女にプレゼントくれない男は最悪です」

「それって、矛盾してない?」

「してませんよー。女はプレゼントが何かによって愛の大きさを測るんですから」

あまり納得できないが、そう考える人もいるんだろう。

まぁ、それにプレゼントは貰った方が嬉しいのは事実だし。

プレゼントを渡す口実といえば誕生日くらいか。

千紘の誕生日っていつだっけなぁ。

夏とかだった気がするんだけど。



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