フルール・マリエ
来店された山口様は今日もお母さんが同伴だ。
新郎は私にだけわかるように小さく頭を下げたので、安心してもらえるように微笑み返す。
「では、2階へどうぞ」
3人を促して2階の和室に通して、用意した着物を見て頂く。
真っ先に口を開いたのは、やはりお母さんだった。
「何だか派手な気がするんだけど、春菜ちゃんにはもっと・・・」
前回よりも勢いが無いのは、お母さんなりの配慮なのかもしれない。
「羽織って頂くだけでも、よろしいでしょうか?」
「まぁ、いろいろ着てみるのはいいかもしれないわね」
一度礼をして着物を広げ、新婦の華奢な肩に羽織らせて、胸もとを整える。
「ほら、やっぱりちょっと派手よ」
着物の後ろ側を整えていると、お母さんが首を振った。
「前からも見て頂けますか?」
お母さんは鏡越しに新婦の着物を見ると、あら、と不思議そうな顔をする。
「前側は結構シンプルなのね」