私の嘘は、キミのせい。
・
・
4時間目の数学が終わると、とたんに教室の空気が変わる。
数学からの解放、そしてお昼休み。
一気にリラックスモードになれるからなんだろうけど。
「奈々佳ーべんと……」
「ごめん要、今日はちょっと用事あって」
靴箱に入っていた手紙には、昼休みと指定されていた。
……まあ、昼休みのいつなのかは書いてなかったけど。
「用事?いつ終わんの?」
「わかんない。だから要も、先にお弁当食べててもいいよ。それか、他の人と食べるとか」
「……んーー、わかったけど……奈々佳、終わったらすぐ戻って来いよ?大輝も綾乃もいるし、俺たちは教室にいるから」
うん───と返事をしようとしたところで思い出した。
───“……行くから”
そうだ。綾乃も大輝も、ついて来るって言ってた。綾乃のあの目は冗談の目じゃなかった。
きっと……いや、絶対来る。綾乃ならやりかねないし、大輝もきっと止めない。