私の嘘は、キミのせい。



そう聞くと彼───相田くんは、少し目を逸らして、軽く深呼吸をした。



そして、あまりにも真っ直ぐに

私の視線を目で捕らえた。



「好きです。……まずは友達からでいいから、俺と仲良くしてください」



え、っと……これは。

予想してなかったわけじゃないけど、確率的には限りなくゼロに近いだろうと思ってた。


……こんな展開じゃないといいな、とも思ってた。



「……ごめんなさい、それはできないです。……好きな人、いるので」



私は片想いの辛さを知ってる。

変に近いキョリでいたら、余計に辛いことも。


だから、悲しいけど。申し訳ないけど。……本当は、受け入れてしまいたいけど。


一ミリでも期待させたら、それはかえって彼に失礼だから。



……“友達”なんて、辛いだけだから。



だからあえて言ったんだ。“好きな人いる”って。


私のことなんて、プライドをズタズタにして、傷つけてきた最低女だと思ってくれれば、それでいい。


< 35 / 46 >

この作品をシェア

pagetop