君と描く花言葉。




と、そんなことを考えていたら、すぐに駅に辿り着いてしまった。



「さてと。じゃあ私、帰るね」


「うん」


「あ、次、いつなら都合いいとかある?
学校あるから、土日のどっちかになると思うんだけど…」


「…俺は基本、ずっといるから。いつでもいいよ」


「わかった。じゃあ、また明日ね」


「明日?…あ、そっか。明日、月曜日だ」


「…忘れてたの?」


「たまに。忘れる。
朝気付いて、遅刻するとか」


「うわぁ…」



曜日感覚も危ういのか、この子は。



笑いながら答える成宮くんを、逆にすごいと思ってしまう。

遅刻なんて、先生に怒られる未来しか見えなくてなかなか出来ないよ。



母性本能というかなんというか、放っておいたらすごいことになりそうでむしろ怖いくらいだ。



「…ちゃんと忘れずに夜ご飯も食べてね」


「…うん。じゃあ」



そんな会話を最後に、私は軽く手を上げた成宮くんに手を振ってから、改札口を通った。





そういえば、自然に駅まで一緒に歩いてきたけれど。


…送ってくれたんだ。



ちょっと歩いてからチラッと後ろを振り返ると、去っていく成宮くんの後ろ姿が見えて。


なんだか胸のあたりが暖かくなった気がして、私は少しだけ口を緩めたのだった。










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