君と描く花言葉。
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「……あの、エリカさん?」
「なぁに?高ちゃん」
「いやいやいや。なぁに?じゃなくて。
何を血迷ったんですか?さっきまでこれ、ちゃんとニゲラが描いてあったよね!?」
「あはは。なんか、楽しくなっちゃって」
「えぇ〜……これ提出するんだよね」
「うん」
「……先生心配するよ、多分。どっか病んだのかって」
「うーん、病んだのかもしれない」
「エリカ……その開き直り方は逆に尊敬するわ」
「ありがとー」
「褒めてないし」
高ちゃんが大げさに額に手をやりながら、ため息をつく。
そりゃそうだ。
結局、上から違う色に無理やり塗り変えたニゲラは綺麗になるはずもなく、間違いなく過去最大でぐっちゃぐちゃな酷い絵になった。
しかも今日1日で。
自分でも認めるくらい、行動が突飛すぎる。
でも、後悔は全くしていなかった。
ニゲラはこれでいいんだって思った。
もちろん、頭の中のニゲラはもっと綺麗だったけど。
でも、さっきまでの無機質な絵より、全然こっちの方が納得できた。
私の絵、って感じがして。
こんなに下手くそな絵でこんなに満足できたのは初めてだ。
「先生に見せてくるね〜!」
「おぉ……いつになく上機嫌だ……。いってらっしゃい」
呆気にとられたような顔の高ちゃんを置いて、先生の元へ向かう。