ハイライト

例えるならそう。
貴方は凛とした花のようで真っ直ぐに前を見据えていて尚可、純白さと何物にも囚われることがない自由で掴み所がなくってけれども誰よりも優しさを持つ尊敬に値するそんな人だった。

誰にも弱さなんて見せないで、ただひた向きにただ純粋に前を見据えて、強さを持っていて周りを引っ張っていた。
そして、何よりも自分に正直で隠すことなくあの人が貴方に向ける“親愛の証”を一心に応えていた。
脇目を振ることもなく、ただただ彼女にだけそれを注いでいた。
…ようにわたしには思えた。実際はどうかなんて分かり得るはずなどないけれど。

足掻こうが叫ぼうが泣き喚こうが、それは変わらない事実で、誰にも二人を別つことも立ち入ることも許されない。
例え唯一無二の絶対の神でさえも、だ。

そんな自由で無邪気な貴方を例えるなら純粋な真白。まさに彼は純白が故に漆黒など知らぬ尊い人だった。
その白さは、正しさは時に諸刃の剣となって、誰かを傷付けてしまうなんて気付きもしない。
それが憎たらしくて愛しい。
…貴方から受けるものならば、どんな悲しみでも失恋の痛みだって喜んで受け入れたいと願うのに。

それに貴方も貴方が愛するあの人だってわたしみたいな、こんな黒い感情も持つこともなくまた気付かないし貴方はただ持ち前の純粋さでひた向きに彼女を愛し続けることでしょう。
それをわたしがどうこう覆すことなんて出来るはずもなくて。
いくら好きだの愛してるだの伝えたとしても、傍から見たらそんなの単なる寸劇やB級映画、はたまた喜劇にしかならなくて。
愛し合うあの人たちからすればわたしは単なる道化師。
例えるならまるでそう、これはビターとミルクチョコレートの狭間の位置関係だ。
彼らがミルクチョコレートならば、わたしはビターにもなりきれない残骸。
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