ココロノオト
一楽章
4月。季節は春。
今日は、吹奏楽強豪の私立・川城高校の入学式。
私はある約束を果たすために、死ぬほど勉強してこの私立高校に合格しました!
はぁ、あの時いっぱいニキビ増えたけど頑張ってよかった……
「みーはるっ!」
「愛那ちゃん!また三年間よろしくね!」
このコは中学の時から吹部で一緒だった、伊藤愛那。楽器はユーフォニアム。超が付くほどの美人で、なにより練習熱心!この高校にも、一緒に部活推薦で入学してきた。
「クラス発表してるよ!あっち見に行こっ!」
どうか、愛那ちゃんと同じクラスになれますように...!!
「やった~!!同じクラス!3年間一緒だね!」
なんて運がいいんだ、わたしっ...!
バンッ
「わっ!すみません」
「おっとすみませ...って、有川!?」
「憂海先輩!?」
「川城来たんだ!びっくりした、伊藤は聞いてたけど、お前何も言ってなかったから」
「内緒にしてたんです。驚くかなって!」
「いや~ほんっとびっくりした!有川、頭あんま良くなかったからな(笑)」
「失礼なっ!」
「うそうそ(笑)3年間、よろしくな」
「はい!よろしくお願いします」
1年ぶりの憂海先輩。高校のブレザーがよく似合ってて、かっこいい。
あの時の学ラン姿もよく似合ってたけど...
「なーにニヤニヤしてんだかっ」
「し、してないし!」
「二人でイチャイチャしちゃって、まったく。私もいるってのにね」
愛那はわたしが憂海先輩のこと中学から好きなの知ってるから、ものすごいニヤニヤしている。
「イチャイチャなんかしてないもんっ」
「でもさ~、早いとこ捕まえないと、誰かに取られちゃうかもよ?」
「え?」
「だって、憂海先輩って優しいし、トランペット上手いし、顔もかっこいいし?新学期早々ライバルがわんさか現れるんじゃない?それも、吹部で」
「だよね...」
「まあ、取られたくなかったら早く告っちゃうことね」
「いやっ、それは無理だよ!だって...」
「だって?」
「ずっと愛那にも、誰にも言ってなかったけど、実は中学の時、憂海先輩に告白したんだ」
「えぇ~~~~~~!?そうだったの!?全然知らなかったわ~」
「だよね!(笑)だって、卒業式の後こっそり伝えたから」
「そうだったのか...で、どうだったの、それは!?」
「フラれました」
「そっか~...未晴でもフラれるのか~」
「え、でもってどういうこと?」
「いや、私の中の考えだと、憂海先輩は、未晴のこと好きなんじゃないかって思ってたからさ、あまりにも意外過ぎて」
「それはないよ。まぁ、とりあえずフラれたけど、普通に接してくださいってお願いしてたし、これから3年間気まずいことはないから、ぜんっぜん大丈夫!」
「大丈夫って...まあ、未晴がいいならそれでいいけどねっ」
「うん!もう、部活死ぬ気で頑張るつもりっ!恋愛なんかしてる場合じゃないよ!」



新学期2日目。さっそく今日から、本格的に練習がはじまる。
「あぁ、緊張する...」
「何によ」
「いやだって、約一年ぶりだよ!?先輩と吹くの」
「確かに、あんたそういやラッパだったね」
「おい、そういやって何だそういやって!」
「冗談冗談(笑)ほら、パートリーダーあそこで待ってるよ。行ってきな!」
「行ってきます...」

「全くあの子は...憂海先輩の事になると気弱なんだから」

「い、1年6組の、あ、有川未晴です!よろしくお願いします!」
「そんな緊張しなくてもいいよ~!ま、気持ちも分かるけどね(笑)私はパートリーダーの林美鈴です。よろしくね」
「はいっ!よろしくお願いしますっ」
「そういや、この子だよな?憂海の後輩って」
「うん。有川、ラッパめちゃくちゃ上手いですよ」
「ちょっと憂...吉川先輩!やめてください、プレッシャーです」
「ふ~ん、仲いいんだな!」
「ほ~ら、あんま新入生イジッたら可哀そうだよ!あ、じゃあ遅れたけどパートメンバーの紹介するね。右から、今の口うるさい奴が2年の田中淳一。そのとなり、紹介しなくてもいいかもだけど、2年の吉川憂海。次に、3年の早川桂里奈、そのとなり同じ三年の本田綾香です。未晴ちゃん、1年生1人で大変だろうけど、うちらと一緒に頑張ろうね!」
なんか、個性あふれるけど、優しそうな先輩達でよかった...これから3年間、私も一緒にコンクールで全国大会行くために、頑張る!
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