不埒な先生のいびつな溺愛 〜センシティブ・ラヴァーズ〜
「お世話になっている書店さんなので、トークショーのお手伝いに来てみたんですが、私の出る幕はなかったみたいで。伏見さんこそ、今日お話されるのは如月文庫の加地かほるさんですよね。本当におめでとうございます」

久遠くんに先に依頼が来た、ということは黙っておいた。
伏見さんは何人か関係者に目線で会釈をしながら、私の話にもスムーズに返答する。

「ありがとうございます。実は、加地かほるは僕が担当しているんですよ。今、本人が裏手でひとりにしてくれと震えているので、こっちに避難してきました。……面白いんですよ、彼女」

「そうですか。本当に、面白いですよね。作家さんて」

要領のいい伏見さんにご教示願いたい。久遠くんのように異次元的な性格の人を相手にするなら、どうしますか、と。
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