雪の光
今まで人のことを散々貶していたのに、突然シリアスな表情で見られると落ち着かない。
「……どうしたの?」
「何でもない。帰るか」
「……そうだね」
「じゃあな」
「うん、じゃあね」
帰り道、変な気持ちだった。
どうしてあんなに歯切れ悪く喋っていたのだろう。
都合の悪いことでもあるのだろうか。
彗も迷うことがあるんだ……。
その事が少し意外だった。
考え事をしながら歩いていると、いつもよりも時間がかかって家に着いた。
「……ただいま」
「おかえり」
リビングから聞こえるか聞こえないかの音量で声が返ってくる。
「そこの食べ物、適当に食べておいて。
お母さん寝るから」
返事も聞かずに部屋に入って寝てしまった。
土曜日にもかかわらずお父さんは家にいなかった。
ほっとして椅子に座る。
2人を見ていると、私はイライラしてしまう。
顔を合わせる度に喧嘩するから。