雪の光


今まで人のことを散々貶していたのに、突然シリアスな表情で見られると落ち着かない。


「……どうしたの?」


「何でもない。帰るか」


「……そうだね」


「じゃあな」


「うん、じゃあね」


帰り道、変な気持ちだった。


どうしてあんなに歯切れ悪く喋っていたのだろう。


都合の悪いことでもあるのだろうか。


彗も迷うことがあるんだ……。


その事が少し意外だった。


考え事をしながら歩いていると、いつもよりも時間がかかって家に着いた。


「……ただいま」


「おかえり」


リビングから聞こえるか聞こえないかの音量で声が返ってくる。


「そこの食べ物、適当に食べておいて。

お母さん寝るから」


返事も聞かずに部屋に入って寝てしまった。


土曜日にもかかわらずお父さんは家にいなかった。


ほっとして椅子に座る。


2人を見ていると、私はイライラしてしまう。


顔を合わせる度に喧嘩するから。


< 20 / 157 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop