雪の光
たまに千夏がくれるお弁当のおかずに感謝はしているけれど、心が暖かくなることは無い。
味も感じられないから、こんな私なんかに分けてくれることが申し訳なく感じる。
人間味なんてないんだから、死んだ方がましだと思っている。
……なのに。
なのに、この前、彗に助けられた。
彗は迷惑だから私が死ぬのを止めただけらしいけれど、私はその時に少なからず救われた気持ちになった。
1週間くらいしか経っていないのに、もうその時の気持ちを思い出せない。
「……死にたい」
口に出すと、自分の言葉ではないみたいに聞こえるから不思議だ。
遠くで誰かが私と同じように死にたがっているようにしか聞こえない。
……いいんじゃない、死んだら。
誰に向かってかは分からない。
私に対してかもしれないし、どこかで死にたがっている人に対してかもしれないし、今にも殺されそうな人に対してかもしれない。