雪の光



「……り、侑里」


誰かが呼ぶ。


今度ははっきりと耳元で。


クリアな音。


「……ん……」


目を開けると、白い。


だけど、色のある白。


カーテンか何かで仕切られている。


私は白くて柔らかいものに横たわっている。


真上には蛍光灯が煌々と照っている。


……保健室?


……死んで、ない。


首を動かすと、誰かがいた。


……知ってる、私を助けてくれた人だ……。


「……ありがとう」


「驚いた」


「……ごめんね」


「違う。お前が、切羽詰まっていたことに驚いた。

生きたいんだろ?」


想定外の事で今度はこちらが驚いた。


「……人間の、本能かな……」


「本能すげえ」


「生き死にに関わらず、助けを求めるのかも」


「あんなに青ざめたお前、見たことない」


「……死にたいって思っているのに、変だよね」


「運びながらこいつの本音、なんだろうって思った」


< 37 / 157 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop