雪の光
「……り、侑里」
誰かが呼ぶ。
今度ははっきりと耳元で。
クリアな音。
「……ん……」
目を開けると、白い。
だけど、色のある白。
カーテンか何かで仕切られている。
私は白くて柔らかいものに横たわっている。
真上には蛍光灯が煌々と照っている。
……保健室?
……死んで、ない。
首を動かすと、誰かがいた。
……知ってる、私を助けてくれた人だ……。
「……ありがとう」
「驚いた」
「……ごめんね」
「違う。お前が、切羽詰まっていたことに驚いた。
生きたいんだろ?」
想定外の事で今度はこちらが驚いた。
「……人間の、本能かな……」
「本能すげえ」
「生き死にに関わらず、助けを求めるのかも」
「あんなに青ざめたお前、見たことない」
「……死にたいって思っているのに、変だよね」
「運びながらこいつの本音、なんだろうって思った」