それでももう、貴方以外考えられない。
「あなたにそのつもりがなくても、彼女が怖がっていますから」


「なっ…」


「まだ何か言い訳するようなら、通報しますよ?」


先生の声が一段と低くなり、さすがのおじさんも黙った。


「大丈夫?」


先生は、私の方に向き直って言ってくれた。


「はい。…ありがとうございました」


その時、私の顔のすぐ隣で、トン、と音がした。


驚いて見ると、先生が私のすぐ横のドアに手をついていた。


先生は、私から顔を背けている。


そのままの体制で、先生がボソッと言った。

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