水月夜

すれ違いの想い


空き教室で直美が私たちクラス全員の悪口を言っているのを聞いた翌日。


ザワザワとしているこの時間は、3限が終わって4限の授業の準備をしていた。


4限は日本史なので、日本史の教科書とノート、もしものときのための参考書を机の中から出した。


今でも心が落ち着かない。


『私の知らないところでクラスでの好感度上げようとしてるし、親友だけど空気読めないやつだし』


昨日の放課後に聞いた直美のセリフ。


それが本心なら、と思うと落ち着かなくなる。


ため息をついていると、授業の準備を終えたらしい千尋がこちらにやってきた。


「梨沙、ため息なんかついちゃってどうしたの?」


ひょこっと私の顔を覗くかのように話しかけてきた千尋。


その表情はいつもと同じ見えるが、目の下には濃いクマができているので、いまだに奇妙な出来事が起こっているのだろう。


毎日絵が変わってたり、部屋のものが散乱したり、お風呂の電気が消えたり、暗い部屋に真っ白な手がふよふよと浮いていたり。


そっちこそどうしたの、と言いたい。
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