水月夜
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私を守るために我が身を犠牲にして、女子更衣室に閉じ込められた千尋を助けた次の日。
昨日の夜はほとんど寝られなかったため、早めに起きてもあくびが止まらなかった。
それでも、今日も学校に行かなくてはならないので渋々パジャマから制服に着替える。
あくびをしながらブレザーに袖を通し、ふと『水月夜』に目を向けた。
相変わらず不気味な絵。
久保さんに『いらないです』と断っておけばよかったかもしれない。
嘘をついて自分の部屋に飾るんじゃなかった。
ため息がつきそうになってそっと視線をそらしたが、なにかがおかしいことに気づいた。
ブレザーのボタンをとめないままバッと再び『水月夜』に目を向けた。
私の視界に広がっていたのはいつもの暗い絵とは違う絵だった。
私と同じ制服を着た女の子がうつぶせに倒れている姿が映った。
倒れている女の子の周りには血の海ができていて、高い建物から飛び降りて自殺したように見える。