水月夜
卒業するまで私の気持ちをわかってくれないであろうふたりに、私の思いが伝わっていたから。


今までの私の言動は間違っていなかった。


どんなことをしたのか忘れてしまったけど、ふたりに気持ちが伝わったということがわかったから思い出せなくてもいい。


心の中でそうつぶやきながら、頭をさげたままの紀子の肩を優しく叩いた。


紀子が頭をあげて私を見つめたと同時に、口を開けた。


「紀子、ヒロエ、ありがとう。わかってくれただけで嬉しいよ」


ニコッと微笑んだ私を見て、ヒロエがギュッと私の手を握ってきた。


突然の出来事でびっくりする私をスルーして、真剣な眼差しでヒロエはこう言った。


「梨沙、これからは3人グループにならない? 梨沙と私と紀子の3人に」


「えっ……」


ヒロエの言葉に驚きに包まれるが、内心嬉しくもあった。


ヒロエと紀子に本当の意味で仲間として迎えられているのだから。


「どうする? 私と紀子と同じグループになる?」


その言葉を聞いて、決心した。


私、ヒロエと紀子と同じグループになる。


「うん、3人グループのメンバーになりたい」


私の言葉に、ヒロエと紀子は得意げな笑みを浮かべた。
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