水月夜
緒方先輩のほうに集まってくる女子たちを見て、聖奈が苦笑いを浮かべた。


「うわぁ、すごいね。緒方先輩の人気、相変わらずだね〜……」


「そ、そうだね……」


自分がいるところにたくさんの生徒が集まってくると、気分が悪くなりそうだ。


吐き気が込みあげてきて、片手で口をおさえる。


「梨沙、大丈夫⁉︎」


聖奈にそう言われても、大丈夫じゃない。


「柏木ちゃん……⁉︎」


視界に緒方先輩が入っても、吐き気はまったくおさまらない。


どうしよう、吐き気が……。


私の顔色が悪くなったことに気づいたのか、聖奈が立ちあがって私の顔を覗き込んだ。
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