水月夜

それから


マリコさんの屋敷に入った日から数か月がたち、冬がやってきた。


入間から江並に帰ってきた日、無事に帰ってきた私たちを出迎えてくれたのは、なんと担任の先生だった。


『雨宮、柏木、柴町(しばまち)、矢畑、入間から無事に帰ってきたんだな! よかった……』


なぜ担任の先生が出迎えてくれたのか。


なぜ私たちが入間に行っていたのを知っていたのか。


それはわからないが、マリコさんが私の前から姿を消したあと、江並に住んでいる人全員に教えてくれたからだろうと、私は思っている。


『あなたとお友達は死んだ私のぶんまで生きてほしい』


消える直前、マリコさんはそう言っていた。
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