ニセモノ夫婦~契約結婚ですが旦那様から甘く求められています~
「小春! 待ってくれ!」

 俺は店を飛び出した。見ると、少し先にボストンバッグを持った見慣れた後ろ姿がある。俺は狭い路地を全速力で走った。

 背中が近づく。俺は目前に迫る小さな肩を掴み、思い切り自分のもとへと引き寄せた。

「伝えたいことがあるんだ。君にたくさん、言いたい言葉がある」

 小春。頼むから、俺の話を聞いてくれ。
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