ニセモノ夫婦～契約結婚ですが旦那様から甘く求められています～

「最近どうだ？　俺も帰ってくるの遅い日が多いけど、大丈夫か？」

「はい。優里はパパに会いたいって寂しがっている日も多いけど、お利口さんにしてくれていますよ」

「小春は？」

　その問いかけに、私は一瞬きょとんとする。しかし、次の瞬間、温かな波が全身に広がった。

「少し寂しいです。でも、私たちのためにいっぱい頑張ってくれている颯馬さんがかっこよくて、大好きなので平気です。家のことは心配しないでください」

　そう告げると、颯馬さんがふっと笑う声が聞こえてくる。

「……ったく。君は相変わらず強くて困る。俺はいつも小春に触れたくてたまらないのに」

　頭を上げた颯馬さんが、私を覗き込んだ。愛おしさに胸がきゅっと締めつけられる。

「好きだよ。小春」

「私も好きです」

　唇が触れ合い、ゆっくりと離れた。颯馬さんの長いまつ毛がわずかに揺れる。