ニセモノ夫婦~契約結婚ですが旦那様から甘く求められています~
「今月分だ。足りなかったらまた教えてくれ」

 その言葉でようやく中身を察した私は慌てふためく。

「こ、こんなに必要ありません……!」

 思わず立ち上がり、茶封筒を颯馬さんに突き返す。

 手の感覚だけだけれど、これ、絶対に私が必要な額よりもかなり多い。

 私は眉尻を下げながら、困惑した目つきで訴える。しかし、彼は、

「遠慮はしなくていい。俺は、君の一生を買ったようなものだから」

 と茶封筒をグッと押し返してきた。私も力を込めて、さらに押し戻す。すると、颯馬さんは、

「小春」

 と優しく諭すように私を呼んだ。思わずドキッとする。

「本当に。幸い株や投資は得意なんだ。だから大丈夫。このお金は、君の好きに使っていい」

 言い終えると、颯馬さんは目を細めてふっと微笑む。胸にジンと熱く込み上げるものがあった。私は少しよれてしまった茶封筒を、大切に抱きしめる。

「……ありがとうございます。じゃあ、お言葉に甘えて」

 そう告げると、颯馬さんは「あぁ」と頬を緩ませた。鼓動が早鐘を打ち始める。
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