ニセモノ夫婦~契約結婚ですが旦那様から甘く求められています~
 * * *

 カーテンの隙間からわずかに覗く空が明るくなってきた。一日の始まりが、すぐそこまで迫っていた。

 結局、ほとんど眠れなかったな。

 何度かうっつらうっつらとはしたものの、その間も頭の芯だけは醒めているような感覚があって、眠った気はまるでしなかった。ベッドから降りると、床はじんわりと温かみを帯びていてほっとする。

 スマートフォンで時間を確認すると、時刻はまだ朝の五時半を回ったところだった。

 これからどうしよう。

 バッグの中身を片付けるにもまだ颯馬さんは寝ているだろうから、起こすといけないし。

 考えを巡らせる。すると、ある疑問が脳裏に浮かんだ。

 朝食を用意したら迷惑かな。家事とかって、どうしたらいいのだろう。

 顎に手を添え、考え込む。

 でも、いくら偽の夫婦と言えど、同じ部屋に住んでいて自分のことだけするなんてあまりにも無愛想だよね。颯馬さんさえ困らなければ、食事くらいは作っても大丈夫かな? 洗濯や颯馬さんの部屋の掃除は、相談した方がいいと思うけれど。
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