ニセモノ夫婦~契約結婚ですが旦那様から甘く求められています~
 今日ご両親たちと顔合わせをするのに、颯馬さんがプレゼントしてくれた。昨日、仕事から帰ってくるなり大きな紙袋を差し出してきて、「開けてみて」と言われたときは驚いたが、中を見た私は「わぁ……」と目を輝かせた。

 だって、このワンピースがあまりにも私の好みだったから。

 あとから、「これも、あ、これも」と靴やコート、バッグの箱まで渡されたときは戸惑ったけれど。

「やっぱり、君にピッタリだな」

 彼は、満足げに微笑む。

 このワンピースを私に似合うと思って手に取ってくれたの? ……颯馬さんが?

 素直に嬉しい。だけれど、紳士な彼のことだから、きっとお世辞だよね。言われ慣れていないから、つい鵜呑みにしてしまうところだった。

 そう理解しているはずなのに、面映ゆくて堪らなくなる。今すぐ丸まって、転がって消え去りたいほどだ。

 おかしいくらいに紅潮しているであろう頬を見られたくなくて、慌てて両手で覆う。

 ……それに、颯馬さんだって。

 私は指の隙間から颯馬さんを覗き見た。
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