今でもおまえが怖いんだ
ep.00
爪先の感覚がなくなり始め、指先の力が抜けていく。
胃が圧迫されるような苦しさに思わず顔を歪めて「う……」と小声で呻いてしまった。

それを感じていると受け取ったらしい相手は上機嫌で更に激しく腰を動かし始める。
彼の腰に回されていた私の両足は彼の肩にかけられて、更にムリな体勢になることで股が大きく開き男性のモノが奥まで入ってくる。

やだと痛いを繰り返してもそれが果てるまで抜かれないことなんてもう分かっていた。だから固く目を閉じる。
早くイけ早くイけって心の中で念じながら、自分の顔にぽたぽたと落ちてくるそいつの汗に内心ではげぇと思う。

汗っかきの人の時は騎乗位にこしたことはない。
正常位の時はタオルを宛てがって「汗かいちゃったね」って額を拭きながら笑うのがいつもなのだけれど、こいつは自分の汗を拭くだけ拭いてタオルを床へと払い落した。
この後もう一回シャワーあるんですけれど……ってその時からウンザリメーターがじわじわと上がりだしていた。

本番行為を許しているのだからせめて早くイってくれと痛い痛い痛い! と声を荒げて繰り返す。
「もう少し、もう少し」と抜く気配のない彼が言う。
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