今でもおまえが怖いんだ
ep.03 遠野利久
――君みたいになりたかった 君みたいに完全に
――君みたいになりたかった 普通すぎる人生を送りたかった

キッチンのカウンターに置いたラジカセからは、懐かしい歌が流れ続けていた。

ダイニングで企画書を作っていた遠野さんは顔をあげて、「リッキーだっけ」と聞いた後に「誰だっけ」と付け足してくる。

「うんそう、ART SCHOOL」

好きだったんだよねと目を細める私に彼は「いつの話よ」と鼻で笑った。
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